2011年に「焼肉酒家えびす」でユッケを食べた181人が食中毒を起こし、5人もの死者が出たユッケ集団食中毒事件。
「焼肉酒家えびす」の元社長・勘坂康之さんの「逆ギレ謝罪会見」でも話題になりました。
その「逆ギレ」の理由の一つが、ユッケ肉を納入していた大和屋商店(やまとやしょうてん)の責任逃れ問題です。
当初大和屋商店は、「生食用の肉は出荷していない」と主張。
しかし、大和屋商店がユッケ肉(生食)として納入した証拠メールも見つかり、責任の所在が問題になりました。
この事件で役員1名が業務上過失致死傷罪で起訴された大和屋商店は、現在はどうなっているのでしょうか?
ユッケ肉(生肉)を納入した証拠メールの画像とともに、お伝えします。
大和屋商店は現在も板橋区で営業?
大和屋商店は、役員1名が業務上過失致死傷罪で起訴されましたが、不起訴処分。
現在も営業を続けているようです。
■株式会社大和屋商店概要
- 本社:東京都板橋区大山東町20-3
- 板橋営業所:東京都板橋区大山町37-4
- 設立:1986年7月
- 代表者:長田長治
- 資本金:2千万円
- 事業内容:食肉類卸売
1994年まで東京都食肉事業協同組合に加盟していましたが、それ以降は非加盟。
安さを売りに取引をしていたようで、焼肉酒家えびすとは2009年7月ごろから取引を行っていたようです。
下のMAPの突き当りが本社のようですが、現在、大和屋商店の名前は確認することができません。
ただ、大和屋商店の法人番号を国税庁の「法人番号公表サイト」で調べると、現在も倒産や廃業はせず存在していることがわかります。
かつては営業所のほうで小売もやっていたとか。
一部では、大和屋商店が生き残っているのはバックが「ハンナンフーズ」だから云々という話もありますが、噂レベで根拠はありませんでした。
大和屋商店がユッケ肉を焼肉酒家えびすへ納入した証拠メール
当初は生食用は出荷していないと主張
食中毒が最初に報道されたのは、2011年4月27日。
4月29日には6歳の男の子が死亡し、翌30日に板橋区保健所が大和屋商店へ2度目の立ち入り調査に入りました。
その際に大和屋商店は
「生食用は出荷していない」
「生食用と誤解されるようなこともしていない」
「生食用として使用するかは焼肉店の判断」
と主張します。
これにより、
焼肉酒家えびすが、加熱用の肉をユッケ(生食)に使った!
という報道が加熱していきました。
焼肉酒家えびすの社長が反論
焼肉酒家えびすを運営するフーズ・フォーラスの社長・勘坂康弘さんは、これに反論。
記者会見やHPなどで、
- 「生食用」と表示された食肉がと畜場からは出荷されることはなく、国内用の食肉は全て原則「加熱用」である。
- しかし表示がないだけで、出荷される食肉は国の定めるガイドラインを満たしているので、生食可能という(当時の)常識。
- 他の焼肉店でもやっていることで、法律に反した食材を使用していた訳ではない。
- 問題の食肉は大和屋商店から「ユッケ用の商品」として提案された。
と主張しました。
これが、逆ギレ会見と言われたのです。
※焼肉酒家えびすの社長・勘坂康弘さんの逆ギレ会見の動画は、こちらをご覧ください。
当時は、衛生基準をきちんと守れば、加熱用(しかない)肉を生食として提供することは国も認めていたのです。
この点は、勘坂元社長の「法律に反していない」という言い分は正しいことになります。
問題は、「食中毒を起こした食肉は、大和屋商店からユッケ用の商品として提案された」という部分。
大和屋商店の言い分とは真っ向から反します。
証拠メールが見つかる
この件はすぐに、大和屋商店が嘘をついていたことが判明しました。
事件以前に、
「ユッケ用のサンプルができたから発送する」
というメールを大和屋商店の役員が焼肉酒家えびす側に送っていたのです。
「国産牛 和牛経産モモ赤身100%(スジ無) ユッケ用のサンプルが出来ました。」
「社員をサンプルテストしましたが、どの部位を食べてももんだいは無く感じました。」
「生食用は出荷していない」という主張は崩れました。
ホームページでも生食用として売っていた
また、ホームページでも「赤身率が高くユッケやロースで使用できます」と、生食用として肉を販売していたことも判明。
その他、「廃用牛」を卸していたことや、部位の違いに応じて担当の作業員や調理器具を使い分けることもしていなかったなど、問題点が多数指摘されました。
フーズ・フォーラス社が大和屋商店を提訴
その後、責任の所在を巡って両者の泥仕合になります。
2012年8月、フーズ・フォーラスは大和屋商店を相手取り約3億円の損害賠償を求め提訴。
その提訴に被害者も加わるように促したというので驚きです。
もちろん大和屋商店にも責任はありますが、焼肉酒家えびすでも衛生管理面や、肉のトリミングをしていなかったという大きな問題があります。
当時厚労省が生食用食肉と認めていたガイドラインは、
飲食店が衛生基準を守り、肉の表面を削るトリミングをすること。
しかし勘坂元社長は、大和屋商店からのメールに
「歩留り約100%で、無駄がありません」
とあったことから、店舗ではトリミングしなかったといいます。
ところが、大和屋商店でも出荷までに2回、肉の表面をアルコールで拭くのみでトリミングはしていなかったのです。
トリミングをすると肉の量が減るため採算は悪くなりますが、飲食店が衛生面を犠牲にすることは許されません。
焼肉酒家えびすでは、「和牛ユッケ」を280円という破格で販売していました。
安さ追求が衛生観念を麻痺させ、悲惨な事件を起こしてしまったのではないでしょうか。
※2017年9月に、大和屋商店とフーズ・フォーラス社及び被害者は和解しています。
まとめ
この記事では、ユッケ集団食中毒事件で、問題となった食肉を納入していた大和屋商店についてお伝えしました。
責任を逃れるために嘘をつき、証拠によりバレてしまった大和屋商店。
現在も営業しているようですが、事件を教訓に改善されていることを願います。
一方の焼肉酒家えびすを運営するフーズ・フォーラスは、破産・倒産しています。
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